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句集1~5の50句は所属する運河・大和句会の150回記念合同句集(2009年8月)に掲載いただいた分です。 以下各句に簡単に注記させていただきます。
ご指導いただいた茨木和生先生ほか運河の諸先輩方にお礼申し上げます。

雛の日に雛なし父の病み給ふ
  昭和52年1977頃義父が入院されたので毎年飾る雛を飾らなかった。家の中が少し緊張した空気だった。
  この句は、右城暮石先生が運河主宰で朝日新聞大和俳壇の選者だった1977年、大和俳壇に投句して
  先生に初めて採っていただいた句。その後まもなく運河に入会させていただいた。
夜寒の門吾子まろび来る足の音
  昭和50年1975頃、奈良・高田駅からは自車で帰ったが帰宅は遅かった。
  門を開けると、その音で長男4歳が玄関まで廊下を走ってくる音が聞こえた。
つくしとりはかまとりして子と過ごす
  昭和61年1986頃次男12歳と近くの田の畦でつくしをとり、家ではかまをとった。
  その頃はまだ家の近くに田畑が多く、土筆やたんぽぽなどが多かった。
恋猫の静かになりて眠られず
  昭和61年春、近くの畑などには野良猫もいて、時々家の庭などにも来た。
  夜中の猫の声がやんで、静かになったらかえって眠れなくなった。
針掛かり見事に逃げし青葉鱒
  昭和61年1986夏、親戚の蓼科別荘から家族で釣りに行った。
  たしかにマスが針に掛かったが、見事に逃げられた。
  父子3人で5匹しか釣れなかった。
通草とり親しき山となりにけり
  昭和62年1987秋奈良・飛鳥カントリークラブの南の山に池があり、その奥に通草
 (あけび)を見つけて以来、この山が好きになった。
何事も起こらず小さき蜘蛛の巣に
  平成元年1989秋奈良・長弓寺の境内から奥の細道を歩いたとき、そばの木に
  小さな蜘蛛の巣が掛かっていた。
  蝶や虫が飛んでいたのでしばらく見ていたが何事もなかった。
ワゴン車の猟犬やさしき目をしたり
  平成元年12月奈良・正暦寺南の城山に登ったとき途中にワゴン車が止まっていた。
  猟師の車だったが中の猟犬はやさしい目をしていた。
病院の窓よく見ゆる冬木越し
  平成2年1990・1月心臓病で通っていた港区・慈恵医大に入るとき、周囲の木々が
  ほとんど裸木となっていて、見上げると病室の窓がよく見えた。  
じゃがいもの花鳥の影通り過ぐ
  平成2年5月住んでいた世田谷区玉堤から二子玉川までの多摩川土手を歩いていたら
  当時はまだ畑が多く、ジャガイモの紫の花が咲いていた。
  見ていると、鳩か何かの鳥影が花の上をすばやく横切ったので驚いた。

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