アカシア句集 13  前へ  次へ

美術館出れば異国の蝉の声
  平成24年2012=9月長男一家の住むニュージャージーを訪ねたときメトロポリタン美術館を一緒に見学した。
  館を出ると蝉の声が聞こえた。アメリカの蝉の声だった。英語で鳴いていたかもしれない。

乗馬して少女廻れり穂草原
  平成24年2012:10月木津川の下河原を歩いた。テニスコートの北側に乗馬クラブがあり、
  大きな木の周りを2、3頭の馬が騎手を乗せて歩いていた。その中に少女もいて、
  手綱さばきも上手に、穂草の中を悠々と騎馬練習をしていた。
      
大川の曲がりおほらか桑黄葉 
  平成24年2012:11月奈良・川西町の糸井神社を訪ねた。太鼓踊りの絵馬など見て、寺川に出た。
  橋のたもとに桑の木があり、きれいに黄葉していた。上流を見ると広い川が左へおおらかに
  曲がってゆったりと流れていた。

近江富士望む漁港に焚火せり 
  平成24年2012:12月琵琶湖の堅田漁港を訪ねた。漁港自体は広くないが百合鴎が泳いており、
  漁師の男性数人が浜で焚き火をしていた。我々も焚き火にあたらせてもらい、湖を見ると
  対岸にきれいな近江富士(三上山)が見えた。

厠にも小豆粥置く小正月
  平成25年2013:1月15日小正月、例年のように妻が椿の葉の上に小豆粥を乗せて、玄関、勝手口などに
  置いた。手洗いに入ると、そのドアの内側の隅にも小豆粥の椿葉が置いてあった。
         
餅撒きて良き日終へたる春祭 
  平成25年2013:2月23日奈良・吉野町の国栖奏を見学に南国栖の浄見原神社を訪ねた。
  吉野川の天皇淵の岩壁に取り付いているような高い場所の狭い神社に大勢がつめかけ、
  古式な舞を見せていただいたが、そのあと祭の締めくくりとして地元の人々が餅まきをしてくれた。
   
塞の神祀れる道の茱萸の花 
  平成25年2013:4月河内龍泉寺から烏帽子形神社を経て岩瀬を訪ねた。南海高野線千早口駅の
  東500メートル位のレストラン「歩絵夢」で食事後近くの谷道を歩いたら、塞の神が祀ってあった。
  そばの坂道を登ると、ぐみの花が咲いていた。ぐみ畑の農夫と話したら、北原白秋の砂山という歌の
  「かえろかえろよ 茱萸原わけて」の話になり、ぐみは成長すると四方に枝が垂れて、
  草を分けるように分けないと通れないと教えてくれた。手入されているので枝は垂れていなかったが。
     
柳絮の空大きな絮はますぐ飛ぶ
  平成25年2013:5月木津川・下河原の森と川に囲まれた河原を歩いていたら、柳絮が沢山飛んできた。
  しばらく見ていると、小さな柳絮は風にあおられて上下しながら飛んでいくが、大きな柳絮は
  意思あるようにまっすぐ飛ぶことに気がついた。
   
どの堂も清水巡らせ行者寺
  平成25年2013:7月奈良・天川村洞川の龍泉寺を訪ねた。
  この寺は大峰山の行者が立ち寄り、身を清める修行の寺だが、湧き水が境内を潤し、
  湧き水の水行場がある。本堂や神聖殿、庫裏など、どのお堂の周囲にも溝があり清水が流れていた。

見上ぐれば西の覗きに雲の峰
  平成25年2013:7月奈良・天川村洞川の龍泉寺を訪ねたおり、東の大峰山登山口の結界を訪ねた。
  結界は大峰山が女人禁制なので山の麓の境界に建てられた門だが、その近くの駐車場から、
  見上げると、修行場である西の覗きの崖が見える。その上には雲の峰が大きく育っていた。

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