アカシア句集 2 前へ  次へ

水馬機械の如き影落す
  平成3年1991・5月東京の住居の玉堤から多摩川園へ時々歩きましたが、そこの亀甲山古墳のそばに
  小さな池があり、アメンボウ(水馬)が泳いでいて底のコンクリートに機械のような影を落としていた。
マンションの窓から拍手聖歌隊
  平成3年のクリスマス・イブは、住んでいた玉堤のマンションでは、クリスチャンの聖歌隊が中庭に入って、
  聖歌などを歌ってくれた。歌が終わると各階の通路や窓から拍手がおこった。
楽しげな大日供会に交じりたし 
  平成4年1992・3月22日御所市・巨勢寺跡を訪ねた。線路に挟まれた跡には大日堂があり、
  そこでは10人位の地元の主婦達が、大日供会を楽しそうにしていた。我々は旅人なので、
  座に入るのは遠慮した。
油虫逃がして妻に叱らるる
  平成5年9月頃、奈良の家も築10年になると油虫が住みつき、台所に出てきたのをハエ叩きで
  叩こうとして逃し、妻に叱られた。反省。
破蓮のあきらめきりし姿かな 
  平成6年1994・12月上野公園の忍ばずの池を歩いたら破蓮がカモメの来る池面に
  うなだれており、見る人もなく諦めきった様子だった。
結核棟跡に背高き姫女苑   
  平成7年1995・6月清瀬の国立東京病院の結核病院跡を訪ねました。ここは石田波郷がなくなる
  昭和44年まで入退院を繰り返した所だが、訪ねた頃は空き地が残っており、背の高い姫女苑が
  沢山咲いていた。波郷もおそらく見たでしょう。 
ふるさとの護岸堅牢春の川
  平成8年1996・2月叔母が急逝したため急遽故郷の吉野・下市へ帰ったが、そのとき町の川岸は
  コンクリートで厳重に護岸され、子供の頃遊んだ川岸はなくなっていた。
蝌蚪泳ぐぶつかるまではまっすぐに
  平成8年1996・3月世田谷区の次大夫堀公園を訪ねた。中に小さな川があり、ゆるい流れに
  おたまじゃくしが沢山泳いでいた。見ているとたいていの子等は相手にぶつかるまでまっすぐ
  泳いでいた。どのくらい大きくなるとぶつからなくなるのだろうか。
懸鳥の藁だんだんと締まる如
  平成8年1996・12月15日奈良のおん祭りに行き、懸鳥を見た。春日の若宮にお供えするため
  奈良の各地から献上される鳥などが藁で掛けられているが見ていると段々藁が締まってくるようだった。  
聖樹解く作業を誰も見てをらず
  平成8年1996・12月26日勤務先の六本木のビルから昼休みにアークヒルズに歩くと3,4人の
  作業員がクリスマスツリーを解体していた。周囲に人が大勢いたが誰もその作業を見ていないようだった。  

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