アカシア句集 11  前へ  次へ

 岩窟は賀茂の源流滴れり
  平成23年2011=6月京都雲ケ畑の惟喬神社から志妙院を訪ねた。
  寺の奥に岩窟があり、中の岩から雫が落ちていた。
  説明板によるとここは賀茂川の源流のひとつらしい。周囲の青葉がきれいだった。

火を消して飛ぶとき迅き蛍かな
  平成23年2011=6月飛鳥、稲渕の男縄の上流、飛び石に蛍狩りに行った。
  暗くなるまで待っていたら河鹿が鳴いた。
  少し下流の木立から蛍が点滅しながら飛ぶはじめた。
  よく見ていると火を消している時は速く飛んでいるようだった。

女将指す大山蓮花終りしと
  平成23年2011=7月東吉野村の天好園から七滝八壷を訪ねた。天候園では大山レンゲを期待したが、
  女将に聞くと、あの辺ですが、もう花は終わりました、と言われた。

茅花流し竹炭窯の谷狭し
  平成23年2011=6月京都府精華町山田川から乾谷を歩いた。  谷はだんだん狭くなった所に竹炭窯の
  小屋があった。煙は出ていなかったが、茅花流しの風が吹いてきた。

梅花藻の花揺れ続けぶつからず
  平成23年2011=8月滋賀の醒ケ井を訪ねた。ここは湧水の
  地蔵川に梅花藻が美しい所で、我々が訪ねた時はちょうど良い花の時期だった。
  花がやたら多いので風でぶつかりそうだったが、意外にぶつからなかった。

鬼取の谷ゆるがして威銃
  平成23年2011=9月奈良大阪の県境の暗峠を再び訪ねた。
  鬼取茶屋の女将に庭の花の名を聞くと蝶のよる木と言われた。そんな名の草はあるのかなと見ていたら
  近くで威銃が谷を揺るがして鳴った。

鳰の子のひとり遊びをしてゐたる
  平成23年2011=10月奈良大和民俗公園を訪ねた。
  菖蒲園のそばの池に鳰の子が1羽だけいて、水に潜ったり泳いだりしていた。
  邪魔するものがいないので、好き勝手に遊んでいた。

いつまでも綿虫宙に用事なし
  平成23年2011=10月京田辺の水取から打田への谷道を歩いた。途中の坂道で綿虫が数匹飛んでいた。
  見ていると疲れを知らないようにいつまでも宙に浮いている。
  彼らには飛ぶ以外まったく用事がないようだった。

大根焚案内係の大坊主
  平成23年2011=12月奈良、信貴山の大根焚きを訪ねた。法螺貝を吹き護摩を焚いている横で、信州から来た
  という大根を大量に焚いて参列者に振る舞ってくれた。
  案内係は大きな僧侶で、腕も大根より太かった。

亀岩は船着場跡冬紅葉
  平成23年2011=12月信貴山を降りて大阪柏原市の雁多尾畑へ行った。ここには大和川の船着場のあった
  亀の瀬があり、神社下から川を見下ろすと亀の瀬の岩が見え、周囲は冬紅葉がきれいだった。
  ここで小さな舟に荷物を積み替えたらしい。

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