アカシア句集 18 前へ  次へ

すこやかに老ゆるが仕事菖蒲の湯
  平成29年2017:5月長い菖蒲の葉が2、3本浮く湯に浸かった。
  78才にもなると健康に生きるのが仕事、と思った。医療費最小にすれば国家予算も助かる。

七つ目の星は背の上てんと虫               
  平成29年2017:5月京都府精華町柘榴地区の山から乾谷を歩いた。途中の池の北側の細道の土手で休憩していたら
  てんとう虫が一匹飛んできて左手に止まった。よく見ると、7つ目の黒い星は丁度背中の上にあった。いつも星を乗せて飛んでいるらしい。

河鹿嗚く川瀬に光あふれゐて
  平成29年2017:6月奈良・丹生川上神社中社の水神祭に参列したあと、夢の淵を訪ねた。
  そこには夢の淵という小さな滝と深い淵があった。そばの岩から川面を見ると、日差しに浅瀬にがきらめいていた。
  しばらく川瀬を見ていたらリリリリリリ と河鹿が鳴いた。

伊勢道の句碑ある社菖蒲葺く
  平成29年2017:6月奈良・丹生川上神社中社の水神祭に参列し夢の淵を見たあと、
  東吉野村の鷲家八幡神社を訪ねた。社殿の屋根には旧節句に合わせて、菖蒲が葺いてあり、
  境内に桂信子の句碑「おのづから伊勢みちとなる夏木立」があった。

堂縁に良き風来たる地蔵盆                 
  平成29年2017:7月奈良・伝香寺の地蔵盆は7月だった。4時から読経の中「はだか地蔵」の着せ替えがあり、
  その後お守りをいただいた。境内で「いさがわ幼稚園」の盆踊りが始まる5時すぎまで堂縁で待った。
  夕方になり境内の橙の木などを抜けて良い風が来た。  

なめらかな父の筆跡終戦忌                 
  平成29年2017:8月終戦日の頃、母の遺品を整理していたら、父の残した厚さ3センチの昭和9年からの
  覚え帳が出てきた。
  当時家は食料品店だったので、山林売買や大きな商品仕入れなどが、父のなめらかな筆跡で筆書きされていた。

秋雲の白はお空が青いから
  平成29年2017:9月奈良・大和民俗公園へ行く途中、田の中の一本道を通るが、見上げると青い秋空に
  真っ白い雲が浮かんでいた。2007~2016年寮美千子さんによる奈良少年刑務所の詩作教室で生徒が詠んだ詩
  「空が青いから 白をえらんだのです」を思い出した。
  そのままいただいた句だが、母を想う気持ちが伝わってくる。 
               
子規庵の糸瓜の花を見てゐたり
  平成29年2017:9月孫の高校文化祭を見るため上京したが、ついでに根岸の子規庵を訪ねた。
  10時から入館し、庭で子規が見ていたであろう糸瓜棚の糸瓜を見た。女郎花とともに黄色い花が咲いていた。
           
幾たびも空を見上ぐる良夜かな
  平成29年2017:10月はじめ、快晴で名月が見られた。夕方見てあまりにきれいだったので、夕食後も空を
  見上げた。また、入浴前も、寝る前も外に出て月を見た。
           
山門は明智の城門冬紅葉
  平成29年2017:11月菊御膳をいただくため、近江の西教寺を訪ねた。
  参道には鬼の大津絵を描いた灯籠が置かれ、冬紅葉がきれいだった。山門の説明文にはこの地の名君と
  言われた明智光秀の城門が移設されたとあった。そのあと、堅田漁港で近江富士や鳰を見た。               

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