アカシア句集 17 前へ  次へ

稗蒔を吹きて青波立たせたり
  平成28年2016:6月去年採っておいた稗の種を菓子の空箱の蓋に敷いた綿に撒いたら、ぎっしりと
  きれいに青い稗苗が育った。それ上からを吹いたら、まるで植田の波のように青波が立った。

行き先は父の戦地か去ぬ燕
  平成28年2016:8月16日奈良・平城宮跡の芦原には例年燕の大群が集まり、毎日数万羽が南へ飛び立つ。
  孫たちと、夕方7時頃大極殿跡復元事業資料館の西側の軒下に燕の乱舞を見に行った。
  この日集まった7万羽位の燕の一部は戦死した父の戦地だったガダルカナル島へ帰るのだろうか。

斑鳩の古墳を照らす望の月
  平成28年2016:9月奈良・斑鳩の藤ノ木古墳に月見茶会に行った。
  暗くなりすぎないうちに抹茶とお菓子をいただき、月の出を待った。薄雲を抜け出た満月がしっかりと
  古墳の円い丘を照らした。古墳公園の木からは草雲雀が聞こえた。

死ねるかと近寄り見たり穴惑         
  平成28年2016:9月大和民俗公園へ富雄川沿いに歩いていたら、道端に蛇が横たわっていた。
  近づいてよく見ると死んでいた。穴惑いが穴を見つける前に死んだらしい。

行く秋の小さき港に諸子舟
  平成28年2016:10月琵琶湖・西岸の北小松・松水に先輩方と鮎の背がき料理に行った。
  時間があったので北の漁港の方へ歩いたら、小さい漁港に諸子舟が10艘以上と繋がれていた。
  誰もいなかったが猫が歩いていた。    
               
静けさを楽しみゐるや二羽の鴨
  平成28年2016:10月大和民俗公園へ行った帰り、大和田城の北500メートル位の所に60メートル四方の
  池があった。柵で囲まれているが、奥の方に鴨が二羽静かにしていた。
  あたかも静けさと穏やかさを楽しんでしるようだった。
           
番台に餅花掛けてゐたりけり
  平成28年2016:12月奈良・富雄駅近くのスーパーに立ち寄ったら、中にある店の入り口に
  小さな餅花が掛けてあった。子供の頃正月に母に連れられて銭湯に行ったとき、番台に大きな餅花が
  掛けてあったのを思い出した。
                 
サッカーに勝つと言ふ子と初湯殿
  平成29年2017:1月正月に奈良に来た小学校4年の孫と初湯に入った。
  地区の少年サッカーチームに入ってがんばっている。正月開けにはさっそく他のチームと試合があるが
  勝つと思う、と自信ありげだった。

我が足で歩むはうれし残り雪               
  平成29年2017:2月10日雪が止んだので、近くの奈良・飛鳥カントリークラブの道を歩いた。
  道の脇には雪が残っていたが、さほど寒くはなく、自分の足で雪道を歩けるのはありがたいと思った。

環濠の水面狭しと初燕
  平成29年2017:4月奈良・桧原神社から天理市・竹の内の環濠集落を訪ねた。
  環濠の土手には桜が咲いて、水面にも花びらが散っていた。
  燕が2、3羽狭い環濠を飛んで、時々水面を叩いていた。今年初めて見た燕だった。
          
     

コメント

このブログの人気の投稿