アカシア句集 14  前へ  次へ

早乙女に牛握手してお田植祭
  平成25年2013:6月30日奈良・石上神宮のお田植祭と夏越祭を訪ねた。
  この日は石上神宮から神剣の行列が出る神剣渡御祭ののち、末社の神田神社でお田植祭があった。
  神剣を立てた斎庭で、作男と牛が出て田耕をし、早乙女が苗を植える仕草をするのだが、
  その前に、牛役が被った黒衣から手を出して早乙女と握手をしたのは愉快だった。
 
上がるほど白くなりゆく今日の月   
  平成25年2013:9月奈良・斑鳩の月を見るため法隆寺の東の上宮遺跡公園を訪ねた。
  月の出を待っていると男女の二人連れも公園に来た。
  東の空から月が上がってきたが、見ていると段々白く美しくなってきた。

磐座に木の葉落つるを待ちゐたり
  平成25年2013:11月生駒市矢田遊歩道のドンデン池から小明町の稲倉神社を訪ねた。
  説明板によると明治以降兵隊のがれ祈願の神社として信仰を集めたらしい。
  ここには烏帽子岩と呼ばれる高さ6メートルの磐座がある。
  磐座に木の葉が散るのを見ようと待ったがなかなか散らなかった。   
   
長屋王の歌碑に楪飾りたる
  平成25年2013:12月平城京の北の歌姫街道の添神社を訪ねた。
  ここには長屋王の「佐保過ぎて奈良の手向(たむけ)に置く幣(ぬさ)は 妹を目離(めか)れず
  相見(あひみ)しめとそ」万葉集巻3-300の歌碑があるが、年末だったので正月の楪(ゆずりは)が
  飾ってあった。ここには菅原道真公の歌碑もある。
         
闇汁の中味減りゆく早さかな
  平成26年2014:1月俳句の仲間で自宅で闇汁会をした。部屋を真っ暗にして、皆が持ち寄った具を
  鍋にごちゃごちゃに入れて煮るのだが、これが意外に美味しいので、皆の箸が進み
  あっという間になくなって、暗い中材料を継ぎ足した。         

お水取参籠見舞に尼僧来て
  平成26年2014:3月奈良・二月堂のお水取りを見学に行った。
  明るいうちに食堂の横に行き、そばの参籠所を覗くと、尼僧が一人来ていて、参籠所の若い僧と
  話していた。修行が二週間も続くので、参籠見舞いの品などを持って訪ねたのでしょう。
  春雪が降る中、練行衆の僧達が食堂で食事をとったが、雪が止んだ頃、食堂から出てきて
  僧達が順に、生飯(さば)を紙に包んで閼伽井屋の屋根に投げた。         

できすぎよ梅見てをれば鶯も
  平成26年2014:3月京田辺の高船を訪ねた。生駒市高山溜池(くろんど池)の東の高船口から
  ゆるい坂を登ると途中に羊小屋があり、この日は羊が放たれて田の草を食べていた。
  そばに梅が咲いていたので眺めていたら、なんと鶯が枝に飛んできて止まった。
  梅と鶯を同時に見たのは生まれて初めてで幸運だった。  
       
朴青葉高高とある吉野かな
  平成26年2014:6月奈良・東吉野村の天好園を訪ねた。途中、166号線の新木津(しんこづ)トンネルを 
  抜けて100メートルほどの左手に、前登志夫の「朴の花たかだかと咲くまひるまをみなかみにさびし
  高見の山は」の歌碑がある。そばに朴の木が数本あり、どの木も青葉がきれいだった。

威銃谺の方が強かりし
  平成26年2014:8月京都精華町の山田川を歩いていたら、突然威銃が「どん」となったが、
  川の北側対岸の小山の崖にこだましてバキューンというような音がした。
  谺の方が音が相当強かった。         

風祈祷せよとの掲示夏の杜
  平成26年2014:7月奈良・宇陀市の室生深野の小高い田園地帯を訪ねた。
  その金毘羅神社からの田畑の見晴らしが良いが、神社のそばに掲示板があり、
  地元の農家への連絡事項として、風祈祷をするようにとの指示があった。
       

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