アカシア句集 4  前へ  次へ

ダム囲む山大きくて囀れり
  平成16年2004・5月奈良・川上村丹生川上神社上社を訪ねた。神社は大滝ダムの南岸の高台にあるが、
  そこから見えるダムは、周囲が完全に山に囲まれており、どの山からも囀りが聞こえるようだった。
筒鳥や人麻呂の妹眠る山
  平成16年2004・5月奈良・天理市の竜王山に自転車で登った。途中の山道はふすま(衾)路といい
  奈良時代は墓地で柿本人麻呂の妻も眠っている。人麻呂はどんな思いでこの道を登っただろうか。
ここからは落葉敷く道足弾む
  平成16年2004・12月奈良・神功皇后陵を訪ねたとき、拝所までの坂道に落ち葉が敷き詰めていた。
  ゆるい坂道だが落ち葉を踏むと足が軽くなった。
 葛城の后の里の薊かな
  平成17年2005・5月奈良・御所市葛城高宮跡を訪ねた。ここは仁徳天皇の后磐之媛の実家だった。
  道路の下側・東側の遺跡は調査後埋め戻されていたが、周囲の畑の溝に水が走り、雉が鳴いて
  小さな藪にはアザミが咲いていた。
白雲も山も映して植田かな
  平成17年2005・6月奈良・唐招提寺を訪ねた。周囲の田はほとんど田植えが済んでいてた。
  畦から見る田水には、周囲の山も白雲もきれいに映っていた。
春の野に連れて欲しげよ子牛の目
       平成18年2006・3月木津川市のクローバー牧場を訪ねた。
  牛小屋の奥の方には子牛が数頭いて、どの子牛も我々を恐れずに見ていた。
  まるで、小屋から連れ出してと言っているようだった。
 山小屋の蛇口閉ぢずよ風露草
       平成18年2006・7月長男一家と5人で西穂高山荘まで登った。夜の山小屋から見た星空は美しかった。
  降りる途中の山小屋近くにピンクの風露草が咲いて蛇口は水が出っぱなしだった。
顔を寄す顔の高さの梅の花
  平成19年2007・2月奈良市西南の砂茶屋から追分梅林を訪ねた。
  梅の花は高さがそれぞれだが、少し酔いながら顔の高さの花に顔を寄せた。
梅林を巡る缶酒尽くるまで
  平成19年2007・2月追分梅林で地元の人達が運営する屋台で温かい缶酒を買った。
  少しずつ飲みながら酒がなくなるまで梅林を歩いた。気分は最高だった。
金剛の時間水とて田水引く
  平成19年2007・5月奈良・御所市金剛山のふもと伏見あたりを歩いた。
  金剛山の水で育つ米は美味しいが、水は貴重なので田毎に時間を決めて分水する。
  それを時間水というらしいが、そのために小さな時計塔が畦に立っていた。



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