アカシア句集 15 前へ  次へ

案山子なりこの辺に見ぬ洋装は       
  平成26年2014:8月奈良・山陵町(みささぎちょう)の塩塚古墳の西側の道を歩くと、のんびりとした
  畑地に入るが、そこにこの辺りでは見かけない洋装の女性が立っていた。
  よく見ると案山子だった。マネキン人形に洋服を着せていた。

寒釣の人よく動く日和かな 
平成26年2014:11月奈良・吉野の桜木神社から津風呂湖を訪ねた。
  ダムの南側に遊覧船の桟橋があり、そこで3、4人の人が多分へら鮒の寒釣りをしていた。
  日差しが良くなって11月にしては暖かくなったためか、釣り人は結構桟橋を動いていた。
                  
女学生リーダーとして聖樹組む
  平成26年2014:12月奈良・山陵町の田園から奈良大学の方へ歩いた。
  途中の関西文化芸術大学の校庭を通ると、学生達がクリスマスツリーを組んでいた。
  見ると、女学生が3、4人の男子学生を指揮していた。後輩学生かもしれないが。
         
雪しきり我が身昭和にあるごとく
  平成27年2015:1月6日奈良はは雪だった。しきりに降る雪を見ていたら、子供の頃、生家の戸口から
  町の通りに、しきりに降る雪を見ていたのを思い出した。昭和30年頃であるが、一瞬、あの頃と
  何も変わっていないような気がした。    

具の多き粕汁も出て清酒祭
  平成27年2015:1月10日奈良・正暦寺の清酒祭を訪ねた。
  正歴寺は清酒発祥の地とされ、この地の麹を使って酒の寒仕込みが行われる。数社の造酒会社の人々が
  蒸した米を冷やすなどの作業をしたが、見学者には粕汁が振る舞われた。具が多く暖かかった。

神馬堂まで砂の飛ぶ春祭
  平成27年2015:2月11日奈良・河合町の広瀬神社の砂かけ祭を訪ねた。この日はお田植祭であり、
  砂を雨に見立てた祈雨の神事でもある。お田植えのあと、白覆面の農夫が田鋤きの途中から見物客に
  砂をかけ、人々も農夫や他の人々に砂をかけた。砂が我々の避難している神馬堂まで飛んできた。

菜の花の金色浄土に遊びたし
  平成27年2015:3月奈良・生駒市の高船口から京田辺の高船まで歩いた。途中羊小屋から羊の声がして、
  そばの菜の花畑は満開で、ぎっしり詰まった花の空間は浄土のようだった。

田に映り飛びゆく蛍ことのほか
  平成27年2015:3月奈良・飛鳥川の飛び石に蛍狩りに行った。
  夕茜の空の下、蛍を待っていると一匹二匹と下流の藪から光が見えた。しばらく川岸で蛍を見たあと、
  県道に戻って、川を見下ろしたら、蛍が岸から離れて田の上を飛んだ。田植え前の水に蛍が映って
  数が二倍になったようで格別きれいだった。

かなかなの声波のごと寄せて引く
  平成27年2015:8月奈良生駒市の富雄川から北田原の池まで歩いた。
  池を見ていたら、ひぐらしが「きちきちきち」と鳴き始めた。聞いていたら鳴き声は強くなったあと、
  弱くなったり、また強くなったりと波のようだった。

浮図田の砂利に遊ぶ子地蔵盆
  平成27年2015:8月奈良・元興寺の地蔵盆に参列した。
  4時頃から若い人達が境内の五輪塔や浮図田(ふとでん:ふとは仏陀、仏塔)の多くの石仏に灯明皿を
  置き、5時頃から法要、6時から琴尺八の演奏だったが、始まる前は子供達が浮図田の砂利で遊んでいた。

彼岸花いきなり降りし天の花
  平成27年2015:9月京都・精華町の山田川を歩いた。途中の田の畦に彼岸花が咲いていた。
  よく通る道で先日までは何もなかったので、まるで天から花が降ってきたようだった。

コメント

このブログの人気の投稿