アカシア句集


露天湯の落葉を掬ふ箱根かな       

 令和6年2024年9月下旬、長男一家と箱根を訪ねました。一泊した箱根ハイランドホテルは昔妻が亡くなった義姉と長男を連れて泊まったホテルですが、箱根の仙石原にあり、その北東には昔の勤務先の保養所がありました。夕方、ホテルの露天風呂に入ると湯船に十枚以上の落葉が浮かんでおり、手で掬って湯船の外に投げ出しました。下界はまだ猛暑の名残の暑さでしたが、別世界に来たようでした。


屏風てふ里に秋風太子道

 令和6年2024年11月、奈良三宅町屏風地区を歩きました。ここは昔聖徳太子が斑鳩から明日香へ通われた道で太子道あるいは筋違い道とも言われる道の途中で、屏風杵築神社には太子の腰掛け石があります。村人が風よけのため屏風を立てておもてなしをしたので、この地を屏風と言うそうです。神社の庭に立つと時おり涼しい秋風が吹いて来ました。


元日の夕日の沈む速さかな

  令和7年2025年元日、帰省中の長男夫婦と奈良平城宮を訪ねました。大極殿の近くの草原から西を見ると、まさに夕日が沈むところでした。見ていると山の稜線に夕日が触れると、あっという間に沈んでしまいました。


猿まはしの猿は直立春隣

  令和7年2025年2月、前年オープンした道の駅「奈良クロスウエイ中町」を訪ねました。たまたま店舗の西側の広場に人だかりがあったので寄って見ると猿まわしでした。実物の猿まわしを見るのは初めてでした。小柄の猿が若い親方の指示で階段を飛び降りして皆を喜ばせていました。賢そうな猿は親方が説明をしている時も直立していました。


今日一日幸なる予感梅開く

  令和7年2025年3月奈良追分の梅林を訪ねました。例年梅は1月末から咲き始めるのですが、この年開花が遅く、追分梅林も3月中旬になって数本の梅が花を着けました。風はまだ寒いのですが、立派に咲いている花を見ると、今日一日良いことがあるような気がしました。寒さに耐えた花のエネルギーに励まされるようです。


今年また茅花見るまでながらへし 

  令和7年2025年6月下旬奈良市中登美ケ丘のイオンの北側の坂の土手に白い茅花が多数咲いていました。ここは時々通る道で毎年この頃風に揺れる茅花を見るのが楽しみでした。
今年は4月から約1ケ月心臓病で入院したので、この花を見れないのではと思っていましたがさいわい無事退院でき茅花と再会できました。高度な医療と病院の皆様のおかげです。


驟雨来て平城宮に雨宿り

  令和7年2025年6月下旬奈良の平城宮を訪ねたときにわかに激しい通り雨:驟雨に会いました。傘が役に立たない雨だったので急いで北側の遺構展示館の軒に駆け込み雨上りを待ちました。昔なら入ることさえ難しい宮殿のそばの建物のおかげです。


米軍ビラ拾ひしときも蝉の声

  令和7年2025年8月15日80年目の終戦記念日、庭ではうるさいほどの熊蝉が鳴いていました。蝉の声で80年前の終戦まぎわ、生家の裏庭で米軍ビラを一枚拾ったことを思い出しました。5才だったので文字は読めなかったですがあとで、米軍が国民に幸福をうながすビラだったと知りました。15日は中庭前の柱に取付けたラジオの前に家族6人が集まり天皇陛下の終戦のお声を聴きました。


浮図田の燭灯けなほす地蔵盆

  令和7年2025年8月23日奈良元興寺の地蔵盆を訪ねました。境内には浮図田(ふとでん)という仏塔などを多く集めた庭があり、毎年地蔵盆では数百の灯明皿を若い人たちが周囲に並べます。5時から点灯を始めますが、全部灯がつく前に風などで消える皿もあり、手分けして点けなおします。私も点灯用の蠟燭を借りて、近くのいくつかの灯明皿に火を点け、参加させてもらいました。


戦場のドローン想ふ水馬 

  令和7年2025年8月下旬木津川中河原の水門を訪ねました。水門近くの水流は穏やかで水馬(あめんぼう)が数匹水面を自由に遊んでいます。それぞれの4本の脚はドローンを逆さにしたように見え、遠くウクライナで人々が苦労している戦争を思い出しました。






















コメント

このブログの人気の投稿